WORKSHOP

レベルアップを目指す方へ、JUAと現役講師陣がサポート

加藤洋子 翻訳教室

概要

文芸翻訳家の加藤洋子氏を講師に迎え、加藤氏が出版社から翻訳を依頼されている、日本ではまだ未刊行の作品の一部をテキストとして使用します。半年の講義終了後、あまり時をおかずして翻訳書が刊行されるため、受講生は自分の訳文とプロのそれを受講後すぐに比較することができます。

ジャンル

文学寄りのエンタメ小説。筋を追うだけの小説ではなく、文章に作家の個性、あるいはアクが強く出ている作品を 取りあげるようにしています。

スケジュール・受講料

現在、募集中・開講中のワークショップはありません。

講師

加藤洋子(かとう ようこ)

翻訳学校ユニ・カレッジで故矢野浩三郎先生に師事し、1989年に「チューリッヒ・ナンバー」というスパイ小説でデビューしました。以来、ミステリー、コージーにロマンス小説、純文学、歴史小説、ノンフィクションと手広くやってきました。八ヶ岳山麓の森に住まいを移して19年、散歩が大好きな犬に引っ張られ毎日4キロ歩き、筋力トレーニングに励み、訳したいと思える本を探し、翻訳に没頭する、ほぼ理想の生活を送っています。

訳書

  • 『結婚という物語』タヤリ・ジョーンズ(ハーパーコリンズ・ジャパン)
  • 『戦場のアリス』『亡国のハントレス』『ローズ・コード』ケイト・クイン(ハーパーBOOKS)
  • 『良妻の掟』カーマ・ブラウン(集英社)
  • 『狙撃手ミラの告白』ケイト・クイン(ハーパーBOOKS)など、多数。

加藤先生からのメッセージ

わたしがクラスでも繰り返し言っているのは「作者の声に耳を澄ませる」それに「文脈を読む」です。

作者の声って、聞こえるものなの? と疑問に思われるかもしれませんが、原書をたくさん読んでいるうちに聞こえてくるものです。「文脈を読む」とは、文章と文章のつながり、パラグラフとパラグラフのつながりを理解することです。翻訳を勉強し始めたころは、一文を訳して、はー、訳せた、となりがちです。だから、文章と文章のつながりが悪い。木を見て森を見ず、になりがちなので、クラスではその点を指摘することが多いですね。

授業の風景

受講生の声

高校時代に翻訳の授業を受け、将来この仕事がしたいと思うようになりました。ユニの講座を選んだのは、将来、版権エージェントである日本ユニ・エージェンシーと取引ができれば、原書の持ち込みをしやすくなると思ったため。デビューのきっかけはインターネットオーディションだったのですが、訳書刊行を重ねるうちに、こういう作品を手がけてみたい、自分でいいと思ったタイトルを出版社に直接提案してみたいと、さらに夢が広がりました。信頼できる取引先とさらにパイプを築きたいと思っていたタイミングで、好きな作家の訳書を多数手がけている加藤洋子先生の講座を見学させていただき、受講を決めました。月1回のクラスでは、訳文の講評だけでなく、リーディングレジュメを扱うこともありますし、フリーランス翻訳者として取引先とどうつきあっていくべきかといった、座学だけでは体感できないところまでご指導いただいています。念願だった企画持ち込みをする環境が整い、実践を積みながら勘所を養い、ようやく1冊目の採用が決まったあのときは、翻訳家になって一番うれしかったです。日本ユニ・エージェンシーと講師、卒業生の先輩方からの全面的な支援があってこその成功でした。今後も、和書刊行する価値のあるタイトルが見つかれば、積極的に提案を続けていきたいと思っています。

これから勉強を始められる方は、まずはいちど、プロの添削を受けてみることをお勧めします。誤訳じゃないのになぜこれがだめなの? と、腑に落ちない指摘をされることもきっとあるはずです。それでも勉強を続けていくうちに、あのときのあの指摘はこういうことだったのかと、わかるときがくると思います。そのプロセスを重ねていき、自分の文章のクセや欠点などの傾向が見えてきたら、その克服に努める。根気の必要な作業ですので、煮詰まったときに相談できる講師や受講生仲間がいれば、長く続けていけるのではないかと思います。

安齋奈津子さん

翻訳の仕事を意識したのは高校時代。でも、ようやく実務翻訳の仕事を始めたのは30代も半ばになってからでした。仕事は順調でしたが、出版翻訳という昔の夢をもう一度追いかけてみたい、そんな気持ちをくすぶらせているとき、ふとしたことから日本ユニ・エージェンシーで出版翻訳の講座があることを知りました。ホームページを覗いてみると、なんと加藤洋子先生のお名前が! じつは仕事と子育てと翻訳の勉強でてんてこまいだったころ、先生の訳した『クッキング・ママ』シリーズを読むのが就寝前の楽しみだったのです。これは運命に違いないと、すぐに通学を決意しました。

受講生全員が訳文を提出し、授業ではそれを見ながら先生の講評を聞いて受講生も意見を出す、最後に添削済みの自分の訳文を返していただく、というスタイルは、なるべくたくさんの人の訳文を見たいし、プロの目から見た自分の訳文の不備を指摘してもらいたい、先生も含めた全員で自由に意見を交わしたい、そんな私の希望を全て叶えてくれるものでした。仕事や諸々の雑事を抱えながらの勉強は想像以上に大変ですが、授業中に出る本や映画やドラマの話も含め、すべてが翻訳の上達に結びついているという実感、何より翻訳に対する先生の愛と情熱に触れられることが、私を鼓舞し続けてくれたのは間違いありません。

今は歴史ものを中心としたノンフィクションの訳書が多く、この分野はライフワークとしてぜひ続けていきたいと思っています。でも、小説を訳す楽しさはまた格別なもの。欲張りな私は両方とも手に入れるべく、これからも勉強し続けるつもりです。

下田明子さん