2026年08月03日
お知らせ

ソウル国際ブックフェア2026に参加しました

今年で68回目を迎えたソウル国際ブックフェア(SIBF 2026)が、2026年6月24日から28日までの5日間、ソウル・COEXにて開催されました。

会場入口

 

今年のテーマは「人間宣言 Homo duduri(ホモ・ドゥドゥリ)」。「ドゥドゥリ」とは韓国の古文献に登場する神話的存在で、トッケビ(鬼)の原型であり、鍛冶屋を意味する古語でもあります。木でできたドゥドゥリにとって、火は自らの体を燃やしてしまう恐ろしい存在ですが、彼は火から逃げることなく、知恵をもって火を扱います。

今、私たちの前に現れた「火」とは、人工知能(AI)です。技術が創作の領域にまで急速に浸透する現代において、それでも問い続け、作り続ける人間の本質を改めて宣言しようという趣旨のもと、このテーマが掲げられました。

また、今年の主賓国にはフランスが選ばれ、会場内ではフランス文学や出版文化に触れられる多彩な企画が展開されていました。

入場を待つ長い列が出来ていました

 

会場全体は連日開場前から長蛇の列ができるほどの熱気に包まれていました。近年韓国のZ世代を中心に定着している「テキストヒップ(Text Hip:読書やテキストを自分らしいオシャレな文化として楽しむトレンド)」の波はさらに勢いを増し、5日間で過去最多となる約16万人が来場し、昨年の15万人という記録を鮮やかに更新しました。18カ国・538社の出版社が集まる中、単に本を買うだけでなく、講演やトークショー、体験型展示を楽しむ観客が絶え間なく訪れ、終始大盛況となりました。

近年のソウル国際ブックフェアは一つの文化フェスティバルのように変わりつつあり、SNSでは会場の写真や訪問したブース、購入した本やグッズ、参加した著者のブックトークなどの投稿が相次ぎ、読書が人々と共有可能な文化として消費されています。それに合わせて各出版社では、それぞれのブースが明確なコンセプトを掲げて読者を迎えており、「本を体験として楽しむ」という新しい価値を提供する体験型ブースも数多く設置されていました。

出版社ブースはどこもにぎわっていました
出版社グッズのガチャガチャもありました

 

実は現在、韓国の出版界を取り巻く環境は決して楽観的ではありません。2026年3月に発表された2025年年間成人読書率は38.5%(大人10人のうち6人が1年に1冊の本も読まない)と過去最低水準を更新し続けており、活字離れや慢性的な出版不況が大きな課題となっています。しかし、こうした厳しい現実があるからこそ、各出版社は従来の枠組みにとらわれない新たな突破口を模索しています。読者との新しい接点を作り出すために、YouTubeでの情報発信やグッズ制作、ポップアップストア開催、メーカーとのコラボ、ブッククラブの開催など、「本」という価値を再定義しようとする出版社の切実な挑戦と工夫が、今も重ねられています。そして今回のブックフェアは、まさにそうした挑戦と熱気が凝縮された場となっていました。

JUAのライツテーブル ミーティングお疲れ様でした

厳しい市場環境の中にあっても、本が持つ力を信じ、新しい形で読者とつながろうとする出版界のたくましいエネルギーを肌で感じられた、実に濃密なブックフェアでした。

 

 

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