WORKSHOP
レベルアップを目指す方へ、JUAと現役講師陣がサポート
宮脇孝雄 翻訳教室
概要
受講生のみなさんの好みに合いそうな短篇から中篇のフィクションをテキストとして使用し、小説の翻訳に必要な技術を学びます。小説の文章はノンフィクションの文章やエッセイの文章とは違います。細部に目を配り、翻訳文を小説の文体にするコツを一緒に勉強しましょう。
ジャンル
英米(とくに英)の文学作品やミステリ、ファンタジーを取り上げます。
スケジュール・受講料
講師
宮脇孝雄(みやわき たかお)
1954年高知県生まれ。翻訳家。敬愛するミステリ評論家・翻訳家の小鷹信光氏の薫陶を受けつつ、早稲田大学政治経済学部在学中より商業誌にデビュー、今に至る。『死の蔵書』や『ディンマスの子供たち』などエンターテインメントから文学まで多様なジャンルの作品を翻訳。また翻訳に関するエッセイ、料理や英米文学・ミステリに関するエッセイ、評論も多い。
訳書
- 『死の蔵書』 ジョン・ダニング著(早川書房)
- 『ディンマスの子供たち』 ウィリアム・トレヴァー著(国書刊行会)
著書
- 『書斎の料理人 翻訳者はキッチンで・・・』(世界文化社)など多数
宮脇先生からのメッセージ
自分の気持ちを込めなければ心のない文章にしかならない。原著者の気持ちに添えなければ翻訳にはならない。このジレンマをいかに解決するか、作者の意を汲んで、なおかつ血の通った文章を書くにはどうすればいいか。難しい? いや、意外と簡単ですよ、というのがこの講座です。
授業の風景
受講生の声
英語から離れた生活をしていたとき、また勉強してみようと選んだのが翻訳通信講座でした。そのとき、自分がしたいのは翻訳だと心底思いました。その後、産業翻訳の学校に通い、修了して仕事を始めました。それに飽き足らず、出版翻訳を学び始め、日本出版クラブ「洋書の森」の講座で宮脇先生に出会いました。この師に学びたいと、2016年から日本ユニ・エージェンシーの講座を受講。主に英国の短篇小説を数回に分けて読んでいくというスタイルで、かなり難解な作品もあります。訳文を仕上げるときに疑問だったところは、授業で丁寧に説明され、新たに気づく点も多くあります。質問すればどんな細かい点でも、真摯に答えていただける。受講後は満足感を得られました。他の人の訳を読むのもためになり、先生の訳例にはいつも唸らせられます。受講後は毎回、間違いを正して修正訳を作り、研鑽しています。
コロナ禍の間、Zoomによるオンライン授業でしたが、今は少しずつ対面授業に移行しています。毎回、新幹線で上京していた身には楽でしたが、やはり、対面のよさには叶わない気がします。
翻訳は一気に習得できるものではなく、地道に継続するしかありません。「好き」でないと、やり通せない。まわりのいろんな事に興味をもつのも大事で、それがどこかで役立つことがあります。
出版翻訳を学び始めた頃、「洋書の森」で借りた本のレジュメを書き、当時の恩師に見ていただき、「これはいける」と後押しされ、出版社に持ち込みました。それがデビュー作の『アイリーンといっしょに』(ポプラ社)で、その後、数冊の訳書を出しました。心に残る訳書を出したい思いに突き動かされ、日々励んでいます。
本を読むのが大好きで、何か本に関ることをしてみたい。でも、自分で書くのは無理。そこで行き着いたのが翻訳でした。手始めに通信講座を試してみるも物足りず、翻訳家の先生から直に教わることのできる場を探すうち日本ユニ・エージェンシーにたどり着きました。翻訳書の前付けでよく見かける日本ユニ・エージェンシーの開く教室なら本格的な勉強ができそうだと思ったからです。
実際に通い始めてみると、宮脇先生の授業はお話も面白く、作者や作品の時代背景、英国の習慣など長年の豊富な知識を踏まえて解説していただけるので明解です。気軽に質問もできて、多少ピントのずれたことを聞いても丁寧に説明していただけるので、疑問点が残らないのも嬉しいところです。
授業は前もって全員が課題を提出、共有し、それを叩き台に一文ずつ検討していく形式です。一人だけ妙な誤訳を曝して落ち込むことも多々ありますが、人数分の各々に工夫を凝らした訳や解釈に触れられるのでとても勉強になります。先生のこなれた、ときに大胆な訳には、もっと日本語の修行もしなければと感じます。
本好き、英語好き、翻訳好きの集ったクラスの雰囲気もよく、「こんな翻訳書を出しました」という方の声に拍車をかけられ、毎回楽しく充実した二時間を過ごしています。
翻訳家を目指す方にはリーディングからデビューにつながる可能性もありますし、そうでない方もこれまで読み流していた本をもっとじっくり味わってみよう、読書の幅を広げてみようと思えるのでは? 課題には思った以上に頭を使うので、ボケ防止にもなりますよ。