COLUMN
JUAスタッフによるコラム
観る目の話
JUAスタッフが観たり聴いたりしたものの感動興奮感想をお福分け。
子どものころから、舞台を観ることが大好きだ。オペラ、演劇、ミュージカル、歌舞伎、文楽、朗読劇、バレエ、舞踊、ダンス…これらを総称して「舞台芸術」と呼ぶのだろうが、日本語の「芸術」という響きが、私には、どうもよそよそしくていけないので、「舞台」と言うこととする。英語の「Performing arts」とか、もっとシンプルに「Theater」と呼ぶほうが肌に合う。
記憶する限り、初めて観た舞台は、劇団プークによる人形劇だ。1929年に創設された同劇団は、現在でも変わらず公演を続けている。プークの劇場では、子どもの座席と大人の座席が分けられており、子どもたちが純粋に人形劇を楽しめるように考えられていた。幼いころの私は、あまりの楽しさにステージに駆け寄っていき、劇団員の方に嬉々として話しかけていたことがあったそうだ。さすがに演目の詳細は覚えていないが、きっと、こうした経験があって、ずっと舞台を観続けているのだと思う。
ここ数年、年間平均で50~60公演くらい観劇している。オタク界隈からすれば決して多くはないが、コロナ禍を機に、ライブ配信という便利なプラットフォームが定着し、観劇頻度は増す一方だ。値段も手ごろなので、普段あまり触れる機会のないジャンルも気軽に観ることができる。劇場での生観劇か配信かを問わず、舞台は「生き物」であり、同じ公演であっても、毎回まったく違う。セリフ回し、間合い、毎回アドリブが入る場面でも内容が変わる。「このシーンの語り口、前回と違う!」といった驚きに出会うことができる。舞台観劇はハードルが高いと感じている方々にも、ぜひライブ配信を通じて、その楽しさを知ってほしい。舞台を観ることは、まさに毎日を生きる活力なのだ。
出演者、演出、舞台装置、音楽、そして観客と、ひとつの舞台を創り上げる要素は多岐にわたるが、特に気になるのは原作だ。はじめから舞台を意図して書かれた戯曲もあれば、映画やテレビドラマの舞台化もあるが、仕事柄、原作が書籍だと、こちらの「観る目」も違う。原作を読んだうえで観劇し、原作との相違点を楽しむこともあれば、舞台を観た後で、無性に原作が読みたくなることもある。また、本を読んでいて、「この作品を舞台化したら」「この役者がこの人物を演じて」「演出はこの人で」と妄想が膨らむこともしばしば。そんなこんなで、気が付くと今日も夜が更けていく。(ロメロ)
お知らせ
- 2024年12月25日 弊社社長が日本外国特派員協会のイベントにパネリストとして参加しました
- 2024年12月23日 弊社仲介「グレッグのダメ日記」シリーズ(ポプラ社)の著者ジェフ・キニー氏のインタビューがダ・ヴィンチWebで公開されています
- 2024年12月23日 年末年始休業について
- 2024年12月20日 弊社が仲介した『指の骨』(著:高橋弘希、刊:新潮社)の英語版(刊:Honford Star)の翻訳者Takami Nieda氏が 米コロンビア大学ドナルド・キーン日本文化センター制定のLindsley and Masao Miyoshi翻訳賞を受賞しました
- 2024年12月18日 弊社仲介『ヨシ ~3万7千キロをおよいだウミガメのはなし~』(あすなろ書房)が「第43回とっとり読書絵てがみ・感想文コンクール」 小学校低学年の部の課題図書に選ばれました