2024年9月13日
芸術鑑賞雑記 vol.5

舞台で巡る世界の旅/フランス

JUAスタッフが観たり聴いたりしたものの感動興奮感想をお福分け。

舞台鑑賞の楽しみの一つが、物語が展開されている国や地域の歴史や文化に触れることができる点だ。多くの作品には特定の国や時代が描かれており、まるで、その時代のその国へタイム・トラベルしているような気分を味わうことができる。そうした背景においてさまざまなストーリーが繰り広げられ、登場人物の生きざまや関係性、作品を通じての作り手や演者のメッセージが伝わってくる。

私が日頃からたくさん観ているミュージカルには、ヨーロッパを舞台とした作品が非常に多い。なかでも、日本人が特にフランス好きなのか、日本で上演される舞台で、フランスを題材とした作品数は群を抜いている気がする。ガストン・ルルーの小説をベースとした『オペラ座の怪人』をご存知の方は多いだろう。別版の『ファントム』は、いくつか異なるバージョンが演じられているし、『1789 -バスティーユの恋人たち-』は、フレンチ・ロック・ミュージカルの代表作だ。そうそう、『レ・ミゼラブル』も忘れてはならない。現在、前回のコラムで紹介した『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』や、宝塚歌劇の代表作の1つである『ベルサイユのばら』が上演中だ。

物語にあわせて、実在する場所が多く登場する。訪れたことのない場所であれば、写真や映像を思い浮かべるが、一度でも行ったことのある場所が出てくると、気分は一気にその場所へと飛んでいく。『ベルサイユのばら』で、「王妃様は今宵、プチ・トリアノンへお出かけでございます!」というセリフを聞いて、ああ、その一角には、かつて訪れたことのある王妃の村里があるな、と思いを巡らせ、『1789』で、「武器を持て!」とカミーユ・デ・ムーランが演説したパレ・ロワイヤルは、舞台上の景色から、かつて革命家や娼婦、浮浪者などで溢れかえっていた情景を想像する。三部会の会議場を閉鎖したことに抗議した平民議員たちが集まった球戯場は、ベルサイユ市内に現存している。

多くの″フランス作品“に登場する、最も重要な人物は、やはり王妃「マリー・アントワネット」だろう。フランス革命によって断頭台の露と消えたのだが、周知のとおり、もとはオーストリーの王女であった。彼女の故郷であるオーストリー、ウイーン、ホーフブルク宮殿…という流れで、早速思い浮かぶミュージカルがある。さあ、舞台とともに旅に出よう!(ロメロ)

ベルサイユ宮殿、プチ・トリアノンの一角にある「王妃の村里」に咲くばら。

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