2026年3月31日
弊社ミニBarのカウンターから vol.19

バターの誘惑

弊社ミニBarのカウンターからJUAスタッフの雑談呟きなどです。

バターが大好きだ。高カロリーで肥満の原因——そんな言われ方を長らくしてきた食材だが、どうにも私は気にしたことがない。近年は、体重増加の主因は糖質にあるとする見方も広がり、糖質をほとんど含まないバターは、取り入れ方次第で日常に無理なく溶け込む。脂質やビタミンA・D・Eも豊富で、むしろ滋味深い存在とさえ言える。

思えばこの嗜好は、母譲りだ。母は「バターは塗るものではなく、切って食べるもの」と言い切ってはばからなかった。焼き菓子にも惜しみなく使い、送られてくるクッキーやパイは、封を切った瞬間に芳香が立ちのぼる。その香りに、こちらの分別などあっけなく溶けてしまうのだった。

料理にひとかけ加えるだけで、味わいに奥行きが出るのもバターの魅力である。ベイクドポテトやムニエル、ポタージュはもちろん、旅先で出合った鳴門金時のスティックフライも印象深い。細切りにして揚げた芋に、溶かしバターを絡める——それだけのことが、記憶に残る一皿になる。

極めつけは「バター・オン・バター」だ。バターをたっぷり使ったクロワッサンに、さらにバターを添える。温めた生地の上でゆっくりと溶ける様子を眺めるもよし、中に忍ばせて頬張るもよし。

過剰と言われれば、その通りかもしれない。だが、節度を重んじる日常のなかで、ときに理屈を外れる贅沢があってもいい。少なくとも私は、その一口に小さな納得を見いだしている。バターとは、結局のところ、理性よりも先に心をほどく食べ物なのだろう。(オクターヴ)

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